2021.05.29
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浮遊する
石川は曇りが多い。春夏秋冬一年を通していつだって曇っている。 スカッと晴れ渡った青空は、ガチャのSSRレベルでなかなか引くことができない。普段、見向きもされない曇り空だけど、曇りは曇りで良い面もある。晴れた曇り空の夕暮れ時、陽の光を真っ白な曇り空が地表全体に優しく拡散し、世界がなんともいえないぼわー […]
2021.05.29
// 3-6
石川は曇りが多い。春夏秋冬一年を通していつだって曇っている。 スカッと晴れ渡った青空は、ガチャのSSRレベルでなかなか引くことができない。普段、見向きもされない曇り空だけど、曇りは曇りで良い面もある。晴れた曇り空の夕暮れ時、陽の光を真っ白な曇り空が地表全体に優しく拡散し、世界がなんともいえないぼわー […]
2021.05.28
// 3-6
打ち合わせが思ったよりも早く終わったので、近くの森を少しだけ歩く。ここらへん一帯は急な斜面になっており、下の方からは水が流れる音が聞こえる。せせらぎまで降りていってみようと思ったが、歩きはじめて2分で道は行き止まりに。来た道を引き返そうと後ろを振り返ると、強い風が吹いた。今まで静かだった森が一斉に騒 […]
2021.05.27
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用途不明の虹色テープが、駐車場に置かれた注意書き看板の根本に括り付けられていた。それは写真では伝えられないのが悔しいくらい綺麗に輝いていて、写真を撮った後もしばらく眺めていた。暗い話や悲しい話は絶えることがないし避けることも難しいけれど、こうやって素敵だと感じるものを毎日少しずつ取り込んでいけば、そ […]
2021.05.13
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セブンイレブンでIQOSといつもの珈琲を買うとお会計が777円になる 寝る前に香水をふりかけて匂いを嗅ぐ お肉が上手に焼けたとき 食事をしたあとの一服 外出する予定が無い時の雨 夜に降る雨 amazonの梱包がダンボールじゃなくて紙袋だったとき ハイボールをコンビニで売っている氷で作る 排水溝サラダ […]
2021.05.01
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この部屋は動いている。だいたい時速1,700kmくらいのスピードで。 私と言えば、部屋の柱にしがみついて立っているのがやっとで、とてもこの部屋から出られそうにない。こんな目にも留まらぬスピードで世界は動いているというのに、皆、何食わぬ顔で外を出歩いているではないか。私にはとてもとても真似できそうにな […]
2021.04.17
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朝は全ての物事が鈍く、夜は全ての物事が鋭すぎる。残り物のホットケーキにありったけのいちごジャムをのせて口に頬張る。電話はなんの前触れもなく自分の時間に割り入ってくるから嫌いだ。その癖ごめんのひとつも言いやしない。Troye Sivanの新譜をspotifyで聴きながら、Discordのボイスチャット […]
2021.03.28
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グリーンカッパーのインナーカラー。大俵ハンバーグにサラダバーをセットでつける。明滅する赤信号。ゆっくりと降ろされる踏切の遮断棒。床に散らばった使い捨て手袋。服についた煙草の匂い。42度に保たれた湯船からは今も湯気が立っている。割り切れない勘定を多めに払い、割引クーポンをしっかりと受け取る。昨晩飲みき […]
2021.03.11
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『トレジャーハンタークミコ』を観た。傍から見れば空想の世界を盲信し、それこそが自分の現実だと思い込もうとしている現実逃避者にしか見えないが、彼女が社会にうまく馴染めない様をみていると、とても他人事には思えず、終始憂鬱な気持ちで物語を追っていた。菊地凛子は本当にこういう役がハマる役者だなと再認識。 『 […]
2021.03.04
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人類の唯一の生き残りであるホモ・サピエンス。もし、ホモ・ネアンデルタールが生き残っていたらどうなっていただろうか。なんてことを考える。 やっぱり争っていたんだろうか。そして、その代わりにホモ・サピエンス同士の争いが起こらない世界だったんだろうか。もしかしたら国家の成り立ちすら、今とは違った形になった […]
2021.03.03
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トム・ウェイツの『Rain Dogs』を聴きながら、エドワードホッパーの『Nighthawks』に想いを馳せる。『Nighthawks』は、深夜の人気のない食堂に特に会話もなく佇むカップルと、そこから距離をとり背を向けて一人座っている男が描かれた、エドワード・ホッパーの代表作だ。この絵を観る時、僕は […]
2021.02.27
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土曜の心地よい昼過ぎの日だまり。部屋の床に散らかった毛がキラキラと輝いている。 「なあ、抜け毛。おまえいったいどこから抜けたんだい」 返事はない。 「なあ、抜け毛。つい先日掃除機をかけたんだが、おまえいったいいつごろ抜けたんだい」 もちろん、返事はない。 つけっぱなしのパソコンのディスプレイではin […]
2020.09.30
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石鹸ライフからシャンプーライフに切り替えた。髪の調子がよくなった気がする。スタイリング剤も同じブランドのものに切り替えた。良い感じにまとまるようになった気がする。日常に小さな変化をつけるだけで、心の具合が良い気がする。そんな気がする気がする。 勘違いでも思い違いでもいいのだ。僕の気分が世界の気分にな […]
2020.09.22
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現在と未来の間に架けられた導線の適切な弛度を求める。ぴんっと張りすぎては小さな負荷に耐えられず、些細な変化で簡単に切れてしまう。アソビは大事なんだと、窓越しに揺れている電線に教えられる。網戸に張り付いていたカメムシは、いつのまにか姿を消していた。遠くでサイレンが聞こえる。誰か、運ばれているのだろうか […]
2020.08.31
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光の中でつかまえて。 光の中でつかまえた。 光の中でつかまった。 光の中で。 光を。
2020.07.18
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エアコンが水漏れをするようになった。さすがにまずいと思い、水滴を受け止めるためのビーカーをエアコンの下に置いた。水滴が落ちるたび、小気味良い音が部屋に響いている。 三浦春馬が亡くなったことを知る。自宅で首を吊り、自ら命を断ったそうだ。彼の作品にきちんと触れたことがあるわけでも、とりたててファンだった […]
2020.06.09
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子供達が校歌を大声で歌いながら通りを歩いている。部屋に立ち込める熱気を払うために開けた窓から、その歌声だけが部屋へと迷い込んできた。風は無い。うんざりするほどの熱気が、今も部屋の中をゆっくりと僕を嬲るように漂っている。道すがる近隣住民と先ほどまで校歌を歌っていた子供達が楽しそうに談笑する声が聞こえる […]
2020.04.16
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サードプレイス 第三の場所 「サードプレイス」とはアメリカの都市社会学者レイ・オルデンバーグ著の「サードプレイス / The Great Good Place」で提唱されている言葉で、自宅をファーストプレイス、職場をセカンドプレイスと定義した上で、その丁度中間にある自分にとって居心地の良い場所(サー […]
2020.04.06
// 3-6
メガネが曇っている。 連絡は、まだ無い。 メガネ拭きで汚れを拭い、蛍光灯の明かりにメガネをかざすと、 元々レンズについていた小さなキズが、ちらちらと光って見えた。 きっとこの小さなキズは、何度もメガネを拭くことでついた傷だろう。 「もしかして……」と思い、拭きたてのメガネを再度掛けてみるも、メガネ越 […]
2020.03.16
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目的因とは、アリストテレスの説いた四原因説に含まれる4つの原因の1つで、事物が何のために存在するか、行為が何のためになされるかを示す目的が、その事物の存在やその行為を理由づけるもののことを指す。言い換えるならば “そのものが存在する理由(〜のために存在する)” である。(例:ペンはなんのためにあるの […]
2020.03.03
// 3-6
何者でもない自分を肯定してはじめて、自分が何者なのかが見えてくる。 僕が持ってるものさしは、昨日の自分までしかはかれない。 『完全なるチェックメイト』を観た。久しぶりにトビー・マグワイアを目にした。神経質な天才役がこんなにもハマるとは想像していなかった(鈍くさい方が似合っていると思っていた)。一つの […]