/ 2022.05.02 /
3-6 /
三角州の笑い男
自分が立っている場所には、まるで三角州のように、色々なところから様々なものが流れつき、そして堆積する。知りたかったこと、知りたくなかったこと、嬉しいこと、悲しいこと、辛いこと、幸せなこと、本当に色々なことが僕のところに流れ着く。流れ着いたものをひとつひとつ手にとっては観察し、その上で自分の認知や印象が歪まないよう、偏らないよう、最大限に努めようとする。もののけ姫のアシタカの右腕のように、ひとたび暴れだしたとき、もう片方の腕でぐっと抑えつけることができればいいが、かたちを持たない心のぐるぐるはその掴みどころのなさから抑えることはとても難しく、自分が思っている以上にMPをごっそりと消費する。僕にも好き嫌いがある。もしかすると大きく偏っている部類なのかもしれないとすら思う。知るということは背負うということと同義だ。それは否が応でも自身の認知に影響を及ぼす。こういうとき、攻殻機動隊の笑い男事件で出てくる台詞が頻繁に頭の中でリフレインする。
I thought what I’d do was, I’d pretend I was one of those deaf-mutes
(僕は耳と目を閉じ口を噤んだ人間になろうと考えたんだ)
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
だが、ならざるべきか。