ブラック企業勤務社畜が中華鍋とお玉を抱えて異世界転生しちゃったので、ここで炒飯専門店としてどうにか生きていくことに決めました

仕事から疲れて帰った僕は、冷蔵庫に放置された食材を使って炒飯を作った。仕事も上手くいかず、自慢できることが何もない僕だが、昔から唯一炒飯を作ることだけは得意だった。高校生の頃、母に炒飯を作ってあげたらとても喜ばれたことを思い出しながら、独り薄暗い部屋で炒飯を口に運ぶ。ささやかな満腹感が心地よい眠気を誘い、気づくと僕はいつの間にかソファーにもたれて眠りについていた。

「○◎△※?」
「騒がしいな・・・」
「○○◎△※◎△※?」

重い瞼をどうにか持ち上げ目を開くと、そこには耳の長い、人によく似た生きものが、怪訝な顔をしてこちらをみながら立っていた。
慌てて周囲を見渡すと、僕は中華鍋を抱きかかえ、手にお玉を握りしめ、見知らぬ森の中で横になっていた。



「うわぁ!え?何だこれ!?」

思わず叫び声を上げる僕だったが、目の前の生き物は僕のことを不思議そうに見つめているだけだった。

「どうしたんだろうこの子達・・・言葉が通じないのか?」

目の前にいるのは3匹の耳が長い生き物だった。頭の上には猫のような三角の耳がついている。顔立ちは非常に整っており、まるでアニメに出てくる妖精のような容姿をしていた。その手には木の枝や葉っぱで作ったような粗末な槍を持っている。腰にも布を巻きつけており、衣服というよりは獣の皮を巻いているだけという感じだ。
そんな妖精みたいな女の子達が、僕を警戒した様子で見つめていた。しかし、言葉は全くわからないようで、何を言っているのか理解できない。すると、奥の方から別の集団が現れた。

「×○□◆▲☆!!」

現れたのは身長2メートルはあるだろう大男で、全身に毛皮のようなものを纏っている。頭からは狼を思わせる大きな耳が生えており、口元には鋭い牙が見え隠れしていた。手に持っている棍棒を振り回しながら、何か叫んでいるようだ。

「おいおい、マジかよ・・・なんなんだこいつらは・・・」

あまりの出来事に頭がついていかない。とにかく状況を把握しようと周囲を見渡していると、ふと足元に落ちている剣が目に付いた。それは鞘に入ったままのロングソードで、先ほどまで僕が抱きかかえて寝ていたことを考えると、おそらく夢の中の産物であろうことが想像できた。

「まさか本当に異世界転生とかってことなのか?いや、でもこんな格好の人なんて見たことも聞いたこともないぞ・・・それにあの化け物は何だ?あんなもの地球上にはいないはずだ・・・」

困惑する僕に妖精たちが近づいてきた。そして恐る恐るといった様子で話しかけてくる。

「*○○◎△※!」
「ん?何だって?」
「○◎△※◎△※!」
「ダメだ、全然わからん・・・」

必死に何かを伝えようとしているようだけど、やはり言葉が全く分からない。困ったなと思っていると、突然後ろから衝撃を受け、僕は地面に押し倒されてしまった。どうやらさっきの大男が背後から襲ってきたらしい。

「痛てぇな!何すんだよ!離せクソ野郎!」

抵抗するも、大男の力は強く、僕は身動きが取れなくなってしまった。

「くそっ!離せよ!」
「△※●◎!」
「ぐぅ・・・」

僕が苦しんでいるのを見て、妖精達は慌てて駆け寄ってくる。そして僕の体に手をかざすと不思議な光が放たれた。すると、先程までの拘束感がなくなり、体が軽くなった気がした。

「これは魔法か?」

僕が呟くと同時に、大男は僕の上から飛び退く。そして妖精達に威嚇するように吠えると、そのまま森の奥へと走り去っていった。

「助かったけど一体何だったんだあいつは?」

訳も分からず呆然としていると、一人の女の子が僕の前にやって来た。彼女は僕の服を引っ張ると、再び言葉を発した。

「○◆★◎」
「えっと、君は何て言ったんだ?」
「◆★◎」

どうやら彼女も言葉は通じないようだった。仕方ないので、僕はジェスチャーを交えて意思疎通を試みることにした。

「僕は怪しい者じゃないんだ。ちょっと道に迷ってしまっただけで、出来れば街まで案内してもらえたらありがたいんだけど」
「×◆■」
「うーん、やっぱり無理だよな・・・」

女の子は首を傾げるばかりで何も答えてくれなかった。それからしばらく僕たちはお互いをみつめあっていた。

「困ったな・・・とりあえず炒飯でも食べるかい?」

僕はそう言うと、手に持っていた中華鍋を地面に置いた。幸いなことに中身は無事だったようで、僕は中から取り出したご飯をお玉ですくい上げ、鍋底を中華なべの底に当てて軽くほぐした後、フライパンのようにして炒飯を作り始めた。

「まぁ味は保証しないけどね」

そう言いながら完成した炒飯を差し出すと、目の前の少女は興味深そうに眺めていた。

「熱いうちに食べなよ。大丈夫、毒なんか入ってないから」

少女はスプーンを受け取ると、恐る恐る口に運んだ。その瞬間、彼女の表情が驚きに変わる。どうやら気に入ってくれたようだ。

「おいしい!これ、なんていう料理なの?」
「炒飯っていうんだ。良かった、通じたみたいだね。お腹空いてたのかな?まだあるけど、いる?」
「うん!ありがとう!お兄さんいい人だね!私の名前はアリサ!お礼に街まで送っていくわ!」

使い終わった中華なべを綺麗に磨き、僕たちは街へと向かった。
道中、僕はアリサに質問を投げかけた。

「ところで君はどうしてこんなところにいたの?」
「私はお父さんと一緒に狩りをしてたの。そうしたら突然、あの怖い人たちに襲われたの」
「それは災難だったね。でもなんで僕まで襲われたんだろう?」
「わからない。きっと私が美味しい匂いを出してたせいかも・・・」
「えっ?どういうこと?」
「私の耳と尻尾、珍しいでしょ?」
「そうだね。初めて見るよ」
「だから狙われちゃったのかもしれない。普段は隠しているんだけど、油断しちゃって・・・」

なるほど、そういうことか。確かにこの世界では獣人やエルフなど、いわゆる亜人と呼ばれる人種は迫害されていると聞く。おそらくこの子もその類いなのだろう。

「気にすることは無いさ。僕だって似たようなものだから」「そうなの?じゃあお兄さんの種族は何?」
「人間だよ」
「へぇ、人間はこんなところにいないはずなのに・・・」
「まぁ色々あってね。それより君の家族は大丈夫なの?」
「あっ・・・」

僕の言葉で我に帰ったのか、アリサは慌てて周囲を見渡した。しかし、周囲には特に変わった様子はなく、彼女はホッと胸を撫で下ろしているようだった。

「よかった、誰も怪我してないみたい。多分みんな逃げられたんだと思う」
「それなら良いんだけど、早く帰った方がいいんじゃない?一人で帰れるかい?」
「ううん、無理だと思う。帰り道が分からないから」
「そっか、じゃあ一緒に行くしかないか」
「ごめんなさい」
「謝ることじゃないさ。それに、僕だって街には行かなくちゃいけないから」
「どこに行こうとしてたの?」
「王都だよ。君も知っているんじゃないかな?」
「王都!そんな遠くから来てたんだ!」
「あぁ、まぁ成り行きだけどね」
「すごいね、旅をしているんだ?」
「いや、旅という程でもないけど」

僕は苦笑しながら答えた。実際、ただの迷子のようなものだ。

「ところで、アリサはこの森に住んでいるの?」
「違うよ。ここはお母さんの森なの。私たちは近くの村に住んでるんだよ」
「近くに村があるの?」
「うん。ここからだと少し遠いけど」
「そうか・・・」

まずいな、完全に迷ってしまったぞ。

「どうかしたの?」
「実は道に迷っちゃったみたいなんだよね。どうにか街まで案内してもらえないかな?」
「いいよ!任せて!」

アリサは元気よく答えると、嬉しそうに歩き始めた。どうやら彼女も道に迷っているらしい。

「ねぇ、その村はどこにあるの?」
「もう少し先だよ。あとちょっとだけ頑張ってね」
「わかった」

それからしばらく歩いたところで、僕はあることに気がついた。

「あれ?おかしいな。いつの間にか霧が出てきたよ」
「本当だ。急に出てきたね」
「しかもどんどん濃くなってないか?」
「そういえばそうかも・・・」

気づくと僕らは濃霧の中に取り残されていた。



炒飯を食べた僕はふと思い立ち、AIのべりすとに罫線以降頑張ってもらいました。途中から中華鍋とお玉で戦いそうになっていたので「困ったな・・・とりあえず炒飯でも食べるかい?」は、僕がテコ入れしました。

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