鍵のかかる引き出し

ダンボールに占領されていた部屋を片付ける。よくもまあこんなに物を買ったなと自分の行いに憂いつつもせっせとダンちゃんを使ってバラしていく。自分が乗っているSUVの後部座席を倒してやっと、全てのダンボールを車に積むことができた。若干まだ荷物が残ってはいるものの、以前と比べてかなり広々とした6畳間に、今度は登山道具をせっせと運んでいく。最低限の物に囲まれたミニマルな生活に憧れるが、自分には一生かかっても無理だなと思う。物で溢れた部屋を見ても散らかっていると感じず、むしろその雑多な空間にときめきすら感じてしまう。

まだ小さかった頃、勉強机の鍵のかかる引き出しには、川辺で拾った綺麗な石や公園で拾った蛍光色のBB弾、角が削れて宝石のようになったガラスの破片や普段見かけないセミの抜け殻など、傍からみるとゴミとしか思えないような物たちが大切にしまわれていた。その小さい頃の延長線上に、今もまだ自分は立っていると強く感じる。

Index
Prev
Next