/ 2022.05.06 /
3-6 /
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Netflixで配信されている『タコスのすべて』を猛プッシュされたので作業しながら視聴したところ、見事にタコスが食べたくなった。レシピを調べると挽き肉を使ったものが多かったが、僕も劇中でやっていたように塊肉を豪快に焼いて包丁で細かく刻んでタコスミートにするやつをやりたかったので、スーパーでステーキ肉を買った。レシピはこの記事を参考にした。レシピにパクチーがあったので、一瞬躊躇ったがパクチーを克服する良い機会だと思い、パクチーも購入した。トルティーヤも自作するために強力粉と薄力粉とベーキングパウダーも併せて購入した。違いが全く分からない。全部ただの粉じゃないか。
まずトルティーヤから作っていく。こねるのは楽しい。だが、待つのも分量を量るのも苦手だ。こねた生地を寝かせて、適当なサイズに切り分けて棒で伸ばしていく。全然うまく伸ばせない。すりこぎ棒しか手元になかったのですりこぎ棒で伸ばしていたが、とても使いづらい。なんとか伸ばした生地をフライパンで焼いていく。焼き始めた途端、どんどん縮んでいく。せっかく伸ばしたのに!!!両面を軽く焦げ色がつくまで焼いたら無事トルティーヤ風せんべいの出来上がりだ。そう、失敗したのだ。生地は次から出来合いのものを買うことにする。残った粉は…どうしよう。
本命のタコスミートを作っていく。人は肉を焼くだけでかんたんに幸せになってしまう生きものだ。言いすぎかもしれない。お肉はいい感じに焼けそう!と伝えたら、お肉は誰でもそこそこいい感じに焼けるよと返された。そんな馬鹿な。肉を焼いている間にベビーリーフとパクチーをいい感じに刻んでまぜた。芳醇なカメムシの香りが鼻孔を通って嗅粘膜を刺激し、これは絶対に食べてはいけないものだと脳に信号を送りはじめた。本場の食べ方をしたらきっと美味しいはずなのだ。ペヤングとマックでハッピーになっている人間の勘など信じるに値しない。
出来上がったタコスミートをカチカチのトルティーヤ風せんべいの上にのせる。タコスは丸めて食べるものだろう。丸めようとしたら、トルティーヤ風せんべいが真っ二つに割れ、タコスミートが皿の上に無残に散った。沈黙の数秒間を経て、タコスミートを手づかみしながらせんべいと一緒に口に放る。これがメキシコの味。口いっぱいに広がるカメムシの群れ。敗北の味。僕の数時間はパクチーを前に全て無に帰することとなった。
えずきながらパクチーを取り分けようとする。ベビーリーフとパクチーをいい感じに刻んでしまったせいで全く見分けがつかない。沈黙の数秒間を経て、無心でカメムシの群れを食べきった。タコスに罪はない。ミート部分は美味しかったのだから。パクチーにもきっと罪はない。ただの草なのだから。
最初にパクチーとカメムシをイコールで結んだ人間を、僕は許さない。