睡眠は最高の瞑想だ

ウルトラライトハイキングでは、ありとあらゆる道具の重量を限界まで切り詰めていく。食料は封を切り中身をまとめてジップロックに詰め込むし、ずっと同じ服を着たまま山の上で数日過ごすことも珍しくはない。そうやって切り詰めて軽くなった分、山行時の足取りも軽快になるし、軽快さは行動に自由、心に余裕を与えてくれる。

軽量化の方法には某死に覚えゲームのキャラメイク(ステ振り)のように一定のセオリーやテンプレが存在する。このセオリーやテンプレを遵守した上で最後に残るのは“自身が何を重要視しているのか”というこだわりだ。人によってはそれが食であったり、娯楽であったり、写真であったりするわけだが、僕の場合、現時点で最も重要だと考えているのは睡眠の質だ。

今までは空気で膨らませるタイプの枕をごまかしごまかし使っていたが、自分にとってお世辞にも寝心地が良いとは言えなかった。空気を少し抜いてみたり、あるいはパンパンにしてみたり、タオルを巻いてみたり、色々やってみたがどうやっても頭の置き心地の悪さが解消することはなかった。軽量化の観点から言ってエアピロー一択だと思い込んでいたけれど、そもそも質の低い睡眠で登山をすること自体危ないのでは…と、最近考えを改めた。

今回新たに手に入れたTHERMARESTのコンプレッシブルピローは、空気ではなく登山用マットの端材を中に封入しているので、普段使用している枕に限りなく近い寝心地だった。と、ここまで長々と書いたが、宇宙飛行士に憧れている僕が単に月の柄に惚れ込み衝動買いしたあとに、自分に対しての言い訳をせっせとこしらえただけなのであった。

Index
Prev
Next