/ 2020.04.01 /
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雑誌『広告』|著作
雑誌『広告』の新刊である『特集:著作』のコピー本(税込200円)を読んでいる。 先に断っておくと、これは非正規で入手したコピー本ではない。今回は正規版(税込2,000円)とコピー版(税込200円)の2種類をあえてオフィシャルが販売するという面白い展開方法をとっており、これは逆にコピー版のほうが価値があるのではと思い、あえてコピー版を購入した(あえてである。決して値段につられたわけではない)
インターネットで大量のリファレンスを得ることができ、かつ、容易に”他人の空似”を発見できる昨今において「著作」あるいは「オリジナリティ」というのはとても重要な課題(問題)だと感じている。
そんな中、刊行された本書は坂本龍一の以下の言葉を引用するところから始まる。
作曲の大部分は過去からの引用。
坂本龍一
“発明”はせいぜい数%程度
坂本龍一に言われてしまったら、我々凡人はもう何も言い返すことはできない。結局、自分が見聞きし経験した分母を元に、自分の手によって抽出することでしか作品を生み出すことはできないし、また、この分母には当然他者の作品も多く含まれている。ミーム(模倣子)の集積体である人間こと僕らは、神の啓示やヤバい薬をキメない限り、自分に集積されているミーム(模倣子)を紡いで作ったものしか生み出せない。それを前提のものとしたうえで、建設的に「著作」「オリジナリティ」について色々な人が議論や考察を行っていて、とても蘊蓄のある読み応えたっぷりの書籍だった。
中でも『引用なき名作は存在しない 映画における「昇華行為」と「オマージュ』と『組織著作のアイデンティティ プリキュアはなぜ愛され続けるのか』の2篇がオススメである。