Time Pool Pot

10年ほど前に読んだ雑誌に書かれていた「タイムプール」という単語が、未だ脳裏に残っている。

それはこういうものだった。

時間が水のように堆積する場所があり、深い場所には過去が、浅い場所には今が堆積している。この時間の溜池を手でかき混ぜた時、今と過去とが混ざり合い、時間の概念が曖昧になり今と過去とが同時に存在する水ができあがる。
その溜池のことをタイムプールと呼ぶと。

こうやって書いてみてもイマイチ意味はわからないが、その語感が好きで、時折思い返しイメージしては、ああ…なんのことだかやっぱり分からん、となっていた。
映画『インターステラー』で五次元を映像として見せられた時、もしかして、タイムプールとはこのことなのかもしれない…と勝手に合点がいってしまった。
五次元というトンデモ空間をビジュアルにできるその想像力と技術力に悔しさを覚えつつ、僕も自分なりにタイムプールを形にしてみようと思い、作ってみたのが今回の画像に写っているものである。


制作プロセスはこうだ。

まず、自分の写真をマーブリング技法を用いて、ぐにゃぐにゃに捻じ曲げる。そのねじ曲がった像を一枚の布に転写し、その布を昔から存在している石像に覆いかぶせた。このことで、過去と今とが混在している状況を意図的に生み出すことが狙いだ。
その上で、布が覆いかぶさった石像を写真に撮り、その写真を明るい部分だけが残っていく形で重ねて現像を行った。
そうすると、光の塊が一つの像を結ぶかたちとなる。


具体的な作業工程としては、cinema4dで写真をもとのテクスチャとしたマーブリングマテリアルを用意し、板ポリに適応する。その上でルーブル美術館が公開しているスタチューのスキャンデータに被せる形でクロスシミュレーションを行なった。結果をレンダリングし、その画像をphotoshop上で比較(明)で合成し、出来上がったのが今回の作品だ。

工程自体は取り分けて難解なものではないが、意味付けを行うことで自分にとって一つ一つがとても重要な作業となった。

ただ自分が気持ちの良い絵を追うのもよいが、たまにはこのようにガチガチに意味付けを行った作業(ある意味グラフィックデザインっぽい)で作品を作るというのも新鮮で有意義だった。