/ 2016.10.25 /
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OLYMPUS OM-1
専門学校に通っていた頃、
デザイナーとしての道を志すキッカケを与えてくれた
恩師と呼べる先生がいた。
あれは1年生の、夏休みに入ってすぐの話だったと思う。
自分の作風に悩むあまり、すっかり自信をなくしてしまっていた僕は、
そのことを先生に素直に打ち明けた。
「これで好きに撮ってみると何か発見があるかもしれないよ」と、
フィルム一眼レフのOLYMPUSのOM-1をポンと貸してくれた。
それまで小さなデジタルカメラで記念写真を撮ることはあっても、
日常的に写真を撮ることはなかった。
そんな僕が毎日カメラを持ち歩き、近所を散歩しては
草花を撮って回るようになった。
シャッターを切り、現像に出し、
仕上がってきた写真をみるたびに興奮し、
どんどん夢中になっていった。
夏休みが終わる頃、
借りていたOLYMPUS OM-1を先生に返し、
その足で学校の近くにあった中古のカメラ屋さんに向かい、
同じOLYMPUS OM-1を買った。
以来、このカメラとは10年以上の付き合いになる。
旅に出たとき。
恋人ができたとき。
住むまちが変わったとき。
僕が観た景色を、10年以上共に眺めてきた、
僕の小さな相棒である。