Homo Neotenicus <ホモ・ネオテニクス>

「幼形進化する人」を表す、Homo(人間)とNeoteny(ネオテニー)を掛け合わせてつくった造語。
以下メモ書き。

Neotenyの哲学的掘り下げ

ネオテニー(幼形進化)について、「幼さ」と「進化」に分解したうえで、哲学的に掘り下げる

「幼さ」とは

  • 時間・発達の観点
    • 生物学的・発達的に「成熟していない状態」=未熟な状態
    • 子供が大人になる前の段階としての「未完成さ」
    • 哲学的には「未完成」というよりも「可能性に満ちている状態」として定義される
      • まだ決まっていない
      • これからどうにもなれるという余白を持っている
  • 認識論的な観点
    • 知識や経験が足りないことで世界を単純に見たり、因果関係を素直に受け取ったりする状態
    • カント的に言うと「理性の未成熟」=「自分で考える力をまだ発揮していない状態」
      • 単なる欠如ではなく、「先入観にとらわれない視点」を持っている状態
  • 倫理・存在論的な観点
    • 「幼さ」を「弱さ」や「依存性」と捉えたとき、そこには「他者にゆだねること」が含まれる
    • レヴィナス的に言うと「幼さ」は他者に対して開かれ、守られなければ生きられない存在のかたちと言える
      • 「幼さ」は「自律以前の共同性」や「他者との関係に根ざした存在の仕方」と言える
  • 美学的な観点
    • 「無垢さ」「純粋さ」と結びつけられる
      • 損得や権力で汚れていない、まっすぐな状態
    • ニーチェ的に言うと「幼子のようになること」が創造性の条件でもある。無邪気さ、遊ぶ力、新しい価値を生み出す力を持つのが「幼さ」と言える
  • まとめ
    • 可能性の余白
    • 素直さ・無垢さ
    • 他者への依存性
    • 創造の源泉

「進化」とは

  • 生物学的・自然哲学の観点
    • ダーウィン的な進化=自然選択による種の変化
    • 哲学的に言えば「偶然と必然が絡み合って新しい秩序が生まれるプロセス」とも言える
      • 「進化=目的論的じゃない生成」。つまり、最初からゴールが決まっているわけではなく、偶然の積み重ねが「意味のある形」に見えるということ
  • 目的論との対比
    • アリストテレス以来、西洋哲学は「すべてのものには目的がある」という考え方が強かったが、ダーウィン以降は「進化=目的なきプロセス」として語られるようになった
    • 「人間の存在に目的はあるのか?」という大きな問いが生まれる
      • 哲学的に「進化」は、目的を持たずに進む過程が、それでも“意味”として人間に認識されてしまう現象でもある
  • 認識論的観点
    • 「進化」は、単に生物の変化にとどまらず、「認識の枠組みの更新」として捉えることもできる
    • 例えば科学史をみると、ニュートンからアインシュタインへ、古典力学から量子力学へ、といった枠組みの変化は「認識の進化」とも言える
    • 「進化=世界の見方そのものが変わっていくということ」
  • 文化・倫理的観点
    • 文化や社会も「進化」と言われるが、これは直線的に“良くなる”というより「複雑化」「多様化」
    • 「進化」は“進歩”ではない
    • 哲学的には「進化」はあくまで「変化のプロセス」であって、「良くなった・悪くなった」は価値判断にすぎない
  • 存在論的観点
    • 根本的にいえば、「進化」は「存在が固定されていない」ということを示す概念
      • あらゆる存在は時間とともにズレていき、別の姿を取る
      • 「流動する存在」という、哲学の根っこに関わるテーマがある
  • まとめ
    • 目的を持たない変化のプロセス
    • 偶然と必然が織りなす秩序の生成
    • 認識や文化の枠組みの変容
    • 存在が流動的であることの証明
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