旅の手帖

小さい頃から本の中に時々出てくる図や地図になぜか心惹かれるものがあった。小学校低学年の僕には難解であった、分厚いハードカバーのファーブル昆虫記を親にねだったのも、挿絵がとても魅力的だったからだ。
それから時は流れて大人になり、初めて勤めた職場は建築事務所だった。
青焼きの図面に鼻血が出るほど興奮したのを、今でも覚えている。
インターネットに転がっている、著名な建築家の図面やスケッチの画像を収集しては一人ニヤニヤと眺めていた。

そんな中、建築家である宮脇檀氏の『旅の手帖』に出会う。
旅先で泊まった宿の一室を隅々まで測り、実測図に起こす。それが彼の習慣であり仕事だった。「自分の手で測って描くことで、色々なことが伝わってくるのだ」と。
そんな彼が今まで旅した宿の実測図とスケッチを一冊にまとめたのが本作だ。
既に宮脇檀はこの世を去っており、本作は檀氏と共に旅をした、娘さんである宮脇彩氏が編集を行なっている。

どんなに綺麗な旅写真よりも、彼が描いた1枚の宿の実測図に、鮮烈な旅の気配を感じてしまうのは、きっと僕だけではないはずだ。


宮脇檀 旅の手帖
宮脇檀 旅の手帖

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