一人称、俺。

学生の頃は自分のことを「俺」と呼んでいたが、社会に出るといつのまにか自分のことを「僕」あるいは「私」と呼ぶようになり、それはプライベートでも変わらずで、すっかり一人称は「僕」に落ち着いてしまった。今となっては「俺」と口にするだけで、なんだか歯の浮く台詞を吐いたような気分にすらなる。だからこそ、歳を重ねても変わらず一人称が「俺」な人に対して密かな憧れがあり、とても格好いいなあと思う。

俺は俺、お前はお前。僕は僕、君は君。私は私、貴方は貴方。僕の中にあった「俺」は、根拠が無くて向こう見ずな、溢れ出んばかりの自信によって支えられていた気がする。帰っておいで、「俺」。こっそり「俺」と口ずさんでいたら、あの頃のあの自信が、ひょっこり顔を出すだろうか。

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