適切な弛度

現在と未来の間に架けられた導線の適切な弛度を求める。
ぴんっと張りすぎては小さな負荷に耐えられず、些細な変化で簡単に切れてしまう。
アソビは大事なんだと、窓越しに揺れている電線に教えられる。
網戸に張り付いていたカメムシは、いつのまにか姿を消していた。
遠くでサイレンが聞こえる。誰か、運ばれているのだろうか。
Airpodsのバッテリーが切れる。世界の音が遠くなる。
脈打つ音が体の中でこだまする。切った爪の切れ端を踏む。
空気が澄んでいる。今は遠くまで見渡せる。