/ 2016.10.07 /
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『Buffalo’66』の真っ赤なブーツ

一番好きな映画は何か?と聞かれたら、迷わず『Buffalo ’66』と答える。『Buffalo ’66』の主人公である男性は、とても神経質で、脆く、優しく、そして社会との距離感が上手くとれずにいる。
初めてこの映画を観たとき、彼の有り様にひどく感情移入してしまいずいぶんと滅入ってしまった。また、スキニーパンツに黒いレザーのライダース、そして真っ赤なブーツという彼の出で立ちにもクラクラとめまいがするほど憧れた。それからというもの、服屋に立ち寄った際は必ず赤いブーツが置いていないか物色するようになった。
探しはじめて数年が経ち、ある時、先輩が経営している服屋に真っ赤なブーツが入荷されたことを知った。「やっと出会えた!!」と、思わずガッツポーズしたことをいまでもはっきりと覚えている。当時の収入からすると結構な出費だったが迷わず手に入れたこの真っ赤なブーツは、いまでも特別なときに大切に履いている。
履き終わったあとは必ずメンテナンスをするのだが、その時間がとても愛おしい。ブーツにオイルを塗り、布で丁寧に磨いていくとまるで子供の頃せっせと磨いたリンゴのようにピカピカと光り出す。履くたびに背筋を正す自信をくれる、内気で弱気な僕にとっての魔法の道具だ。