カセットテープ

ここのところ、カセットテープへの録音にご執心である。好きなアーティストのカセットテープをカセットプレーヤーで聴くだけでは飽き足らず、いつのまにか録音にまで手を出してしまった。ここらへんは元々フィールドレコーディングに興味関心があったので必然なのかもしれない。最初はふつうに音が録れたらよいだろうということで、カセットプレーヤーの録音機能で音を録ってみたが、あまりのノイズの酷さ(心地よいノイズではない)に悔しくなり、ハードオフで5,000円くらいのVICTORのカセットデッキ(ジャンク)を購入した。カセットデッキであらためて音を録ってみると、自分が理想としていた音質で録れたので感動していたら、ものの3時間くらいでカセットデッキ内のベルトがいかれて故障。ジャンクだったのでしようがないなと思いつつも、やっと面白くなってきたところでおあずけを食らったので、居ても立っても居られず再度ハードオフへ。VICTORのカセットデッキの10倍の値段がする、SONYカセットデッキTC-K333ESLをいつのまにか勢いで購入していた。値段も値段なので、さすがの6ヶ月間保証付き。これで初期不良に怯えなくて済む。

ただ録音ボタンを押すだけで綺麗に録れると思っていたが、いざ蓋を開けてみるとそう単純ではないことが分かってきた。カセットテープにもそれぞれ個性(特性)があり、テープにあわせてカセットデッキ側をキャリブレーションしてあげる必要があるようだ。バイアス調整、ドルビーNR、EQなど、自分の知らない単語が頻出するので都度ネットで調べながら色々とやってみているが、なにぶん機材も古く(1990年製)、各調整機能が正常に動作しているかどうかも分からないので、実際にテスト録音したうえで録れた音を聴きながら調整するのが一番良い気がしている。

カセットテープに試行錯誤しながら録音を重ねるうちに僕はある既視感を覚えた。そう、3Dプリンタだ。3Dプリンタはデジタル機材の代名詞のようなものだと思われがちだが、全然そんなことはない。入力されるものはデジタルデータだが、出力する際はFDM方式の場合、溶かしたプラスチックをチョコペンのように絞り出しながら積層していくという原始的な仕組みだ。室内環境や素材、出力する形状によって都度キャリブレーションが必要でとにかく手間がかかる。カセットテープへの録音も、3Dプリンタの扱いにとてもよく似ているなと思う。そして、僕はこういう手間のかかるものが大好きだ。

ぼちぼちカセットテープへの録音も正確にできるようになってきたので、次はフィールドレコーディングした音や音楽、自分のべしゃりなんかを織り交ぜたテープを作りたいなと考えている。カセットテープレコーダーが普及し始めた1960年代後期には、外にカセットテープレコーダーを持ち出し、実際に音を録って楽しむ「生録」と呼ばれる活動が流行ったらしい。たまたまYoutubeにSONY主催の生録コンテストの音声が残っていたので聴いてみたが、これがとても良かった。第1回ソニー全日本生録コンテスト金賞を受賞している『MARCHING WITH DENSUKE』という作品だが、今聴いても全く色褪せない臨場感がある。録音者(応募者)が歩きながら語っている雰囲気がとても良く、小袋成彬の『分離派の夏』のskitを思い出させる。何のけなしに動画のコメント欄を眺めていたら、金賞受賞者本人がコメントを残しているのがとてもグッと来た。

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