/ 2026.03.15 /
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山のうつわ、山のしっき

随分と前にVIVAHDEの山のうつわ(ブラック)1を買った。今でこそ珍しくはないが、山のうつわが出た当時は、スタッキングできる木製のクッカーは珍しく、また、僕の地元である石川県の山中塗りの職人が手がけていることもあり、見つけてすぐに衝動買いした。後に同じVIVAHDEから山のうつわDISHが発売され、山のうつわとスタッキングするとまるで応量器のような風貌になる点がとても気に入っていた。
山のうつわはウレタン塗装で仕上げられており、僕が持っているブラックは黒色の塗料で塗られているということもあって、木目と刷毛の塗り跡がチグハグなのが目立ってしまい、それがずっと気になっていた。また、使っていくうちに日ごと塗装が剥げてきており、経年変化と言えば聞こえが良いが長く使おうと思ったとき、木地がむき出しの状態で使うのはあまり器に良くないのではないかと考え、使う頻度を落としていた。
山のうつわについては「いつかちゃんとしてあげよう」と思いつつ、それとは全く別の文脈で、最近ヤフオクで落札した欠けや剥げのある漆器に対して漆を塗り直すということに夢中で取り組んでいた(これについてはまた別の機会にきちんと整理したい)。ヤフオクで落札した漆器も無事自分が思う理想のかたちで塗り直すことができ、「漆が若干余ってるから何か塗れるものないかな〜」と部屋の中を眺めていたときに、目についたのが山のうつわである。
冒頭に写真を貼っているので最終的にどう仕上がったのかは既にお分かりの通りかと思う。山のうつわについて思っていたことは全て解消し、かつ漆塗りにしたことでウレタン塗装の上位互換(防水・防腐・抗菌性)として機能するようになった。使うほどに艶が増す特徴も経年変化における楽しみとなるし、山や家でガシガシ使う過程で仮に漆が剥げたとしても、自分の手で全く同じ姿に戻せる(塗り直せる)ということが何よりも嬉しい。
また、カトラリーは黒檀の箸とEVERNEWの木のSputuraを普段使っていて、これも同じように塗装が剥げたり木地がむき出しになっていたので、山のうつわと同じように漆で塗り直した。まるで山のうつわとセットで作られたかのような仕上がりになったので、この点も最高に気に入っている。
漆塗り自体今回初めてやったが、さすが職人と呼ばれる人がいるだけあって一筋縄では全くいかず、何度も失敗をした。けれど、失敗する過程で自分にとって面白い発見が多々あった。例えば、漆の乾燥(厳密には化学反応による硬化)には、湿度が70〜85%程度必要なこと。けれど漆の塗り具合によっては湿度が高すぎるとすぐに硬化してシワが寄るため、湿度が高ければ良いというものでもないということ。漆自体は天然の樹液であり、使う漆自体で個体差が結構あるということ(僕が生漆を好んで使ったからということもある)。

今回色々試行錯誤するなかで、漆風呂2を自作した。ダイソーで買ってきた密閉容器の底に洗車用のセームタオルを敷き、その上に猫よけのトゲトゲマットを置いた簡単なもの。最初はタオルを固く絞ったものを使っていたが、タオル生地自体が乾燥しやすい構造のため、湿度変化がピーキーになりがちだった。途中から洗車用のセームタオルにしてみたところ、こちらのほうが湿度変化が緩慢で扱いやすかった。BOXのサイズがもっと大きい
場合はタオルの方が良いのかもしれない。
- VIVAHDEオリジナル 「山のうつわ」| VIVAHDE ↩
- 漆を乾燥させるための場所 ↩