煤だらけの薬缶

最近はベランダに焚き火台を持ってきて、斧と鋸を使って薪を小さく割りながら、一人焚き火を楽しんでいる。ここ数年全くベランダを使ってなかったので、自分なりのベランダでの楽しみ方を見つけられたことが嬉しくて、心の中で小さくガッツポーズをした。煤がついた薬缶はとても格好が良く、自分の道具として手に馴染んでいく感じがする。煤だらけの薬缶や矢床鍋をボロ布で磨いていると、吉村昭の『漂流』の中で主人公の長平が無人島に流れ着いたサビサビの鍋を大切に使っていたのを思い出す。

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