ポケモンとの冒険

『ポケットモンスター スカーレット』を買った。ポケモンをプレイするのは金銀以来のことだから、20年ぶりにポケモンの世界に帰ってきたことになる。ポケモンの世界はドット絵モノカラーから、フル3Dフルカラーの世界に様変わりし、ポケモンたちは自由に野原を駆け回っていた。目の前に広がるポケモンの世界に心の底からワクワクしている自分を見つけ、まだゲームに対してこんなにワクワクする自分が残っていたことに小さく感動した。毎作しっかりとプレイしている人には当たり前のことだと思うが、自分のポケモンが個性豊かに動き、後ろ姿だけではなく全身をしっかりと眺めることができるだけで、ポケモンおじさんの僕は「うおおおお!」となってしまう。ちょうど金銀がリリースされる頃にアニメ版ポケットモンスターの放送が地上波で開始した。当時まだ小学生だった僕は、第一話の放送をまだかまだかと心待ち、放送当日は友人宅に何人かで集まって正座しながら第一話を視聴したことを、いまでもはっきりと覚えている。アニメが始まってすぐ、事前に発表されていた金銀初出となるホウオウが空を優雅に翔け、僕を含め皆が歓喜した。今では長寿作品となったポケモンなので、ポケモンがアニメの世界で動いていることは当たり前な人が多いと思うが、想像の中だけでしか動いてくれなかったポケモンたちが個性を持って動き回る様は、本当にみんなが心待ちにしていたものだった。
アニメの中でサトシが野営をする際に、自分が連れているポケモンをすべてモンスターボールから出し、憩いの時間を過ごすシーンがある。子供だった僕は「羨ましい!!」と叫びながらブラウン管テレビの前で一人身悶えていた。今作『ポケットモンスター スカーレット/ヴァイオレット』ではピクニックという要素がある。まさにこれはアニメのサトシさながら自分が連れているポケモンをみんなその場に呼び出してピクニックを楽しめるというものだ。手塩にかけ愛着100%のポケモンたちを呼び出したとき、思わず「うおおおお!これこれ!」と声が出てしまった。まさか20年越しにあの頃の夢が叶うとは思っていなかったし、20年経った今でもあの頃と変わらず心の底から喜べた自分がとても愛おしかった。
浜辺にシートを広げ、不格好なサンドイッチを作ってポケモンたちと一緒に食べる。気づいたらポケモンたちは眠りについており、朝日が水平線の向こうからゆっくりと昇ってくる。今日も冒険がはじまる。

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