ワンパンマングローブ

軽くて丈夫で温かいグローブはごまんとあるが、GripSwanyの革グローブを頑なに使い続けている。何年前に購入したのかうまく思い出せないくらい、随分と昔に手に入れたものだ。革のグローブということもあり、使い始めの頃はゴワゴワとしていて手に馴染まず、指も曲げづらかった覚えがあるが、今となっては自分の手のかたちと全く同じかたちになり、関節の位置で折グセがついているので指も曲げやすい。おそらく僕以外の人が手を通すと、非常に使いづらいグローブだと思う。登山時に岩場や鎖場で使ったり、キャンプ時に火種を持ったり掴んだりしたせいで全体的に傷だらけになり、かつ相当汚れているが、いまでも充分に使えている。そんな折、たまたま同じGripSwanyの(赤にちかい)オレンジ色のモデルを見かけ、我慢できず手に入れてしまった。僕が持っているモデルはG-1で、今回購入したのはG-70。G-1よりも恐らく革が薄いせいか最初から柔らかく、指の曲げもしやすかった。また、指の縫い目も折り返してあり、綺麗に始末がされていた。単純な良し悪しで比較することは難しく、G-1とG-70では(モデルが違うので当たり前といえば当たり前ではあるが)想定用途が異なるように思える。グローブを外したあと、指先に残る牛革の独特な香りが、新品らしさを際立たせている。つけた姿はさながらワンパンマンで、(似合うかどうかは別として)まあこれも悪くないなと。「革のグローブ、2つも必要?」という内なる声に対し、僕の中の土井善晴先生が「革のグローブなんて、なんぼあってもええですからね」と言いくるめていた。

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