切れない輪ゴム

つい数年前までは食べさしのお菓子の袋を封する時、決まって使ったのは輪ゴムだった。紙製の箱から輪ゴムを取り出すと劣化した輪ゴムが2つくっついていたり、あるいはお菓子の袋に輪ゴムをかけた途端切れてどっかに飛んでいってしまうのは日常茶飯事だった。もしかすると僕の管理状態が悪いのが原因だったのかもしれないし、輪ゴムとはそもそもそういうものなのかもしれないが、家にあった輪ゴムを全てモビロンバンドに変えてからはそんな問題が一切といっていいほど無くなった。輪ゴムのように劣化せず、伸ばしても切れないくらいの強度と適度な伸縮性があり、今日に至るまでとても重宝している。その利便性と信頼性から、家の中の消耗品を留める結ぶ束ねる以外に、登山の際も何本か携帯していくほどだ。
幼少の頃を思い出し、輪ゴムのようにモビロンバンドを飛ばしてみる。なれた手付きで構えるも、輪ゴムほど伸びてはくれず、また、輪ゴムよりも軽く、風の抵抗を受けやすいせいか、ぎこちなく宙を舞って地面に落ちた。ほんの少しだけ輪ゴムが恋しくなった。

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