山と道と宇宙 / Light 5-Pocket Shorts & Light 5-Pocket Pants

1992年の9月12日。毛利衛がスペースシャトルに乗り、宇宙へと旅立った。当時の僕は彼の偉業には目もくれず、彼が着ていたオレンジ色のスーツに釘付けになった。通称パンプキンスーツとよばれるこの服は、スペースシャトル搭乗時に船内で着用するものだ。数年後、マイケル・ベイ監督の『アルマゲドン』にて、ブルース・ウィリス演じるハリーが同様のスーツを着ていたのをみて、その格好良さに再び痺れてしまった。オレンジ色のパンプキンスーツから始まり、年を重ねるにつれて宇宙への興味も増していったように思う。大人になってからは、他の惑星の写真集を買ったり、惑星の高解像度写真が公開されるたびせっせとダウンロードしては、ぼうっと眺めている。

久しぶりに山と道のサイトを眺めていると、パンプキンスーツのような色のパンツを履いたハイカーが写った写真が目に止まった。ザックを背負ったハイカーの眼下には火山湖が広がり、その光景はまるで未知の惑星に降り立った、宇宙飛行士のようだった。すぐに在庫を確認し、まだ在庫が数点あると分かると急いで購入した。

『山と道』の「Light 5-Pocket Shorts」と「Light 5-Pocket Pants」の2点が今、僕の手元にある。正確には1点は僕の足元、つまり着用した状態でこの文章を書いている。『山と道』はシンプルな造形に、使う人の活動を考え抜いた設計、そして聞いたこともないような新素材を取り入れたプロダクトを開発し続けるブランドだ。「Light 5-Pocket Shorts」と「Light 5-Pocket Pants」に用いられている素材(オレンジ色!)はPertex Equilibrium (パーテックス・イクイリブリアム)と呼ばれるもので、びっくりするほど軽く、まるで履いていないような履き心地である。肌触りは天日干しした布団のようにサラサラとしており、とても気持ちが良い。

毛利衛は帰還直後、テレビカメラの前で「宇宙からは国境線は見えなかった」と言った。スケールは違えど山に登り、そこから下界を眺めた時に近しいものを感じる時がある。今年の夏はこの山屋の宇宙服を身にまとい、山に臨みたいと思う。


Light 5-Pocket Shorts / 山と道
https://www.yamatomichi.com/products/29472/

Light 5-Pocket Pants / 山と道
https://www.yamatomichi.com/products/12963/

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