STILL STANDING IN THE BOG

初めてこの場所を見つけたのは小学校高学年のときで、当時住んでいた家から自転車で遠出をしたときに偶然見つけた。あれからもう20年以上も経ち、景色も随分と変わってしまった。橋が架かって幹線道路が通り、雑木林は切り倒され、川幅は狭くなり、不法投棄されたゴミが増え、立入禁止の看板が随分と目立つようになった。それでも時折こうやってここにやってきては、景色の変化を目で追い、記憶の中の光景と見比べながら、変わったところをひとつひとつ記憶に焼き付けていく。大好きだった岩肌際立つ川辺のすぐ近くで大規模な治水工事が始まっており、川が流れる音をかき消すように重機やブルドーザーの音が辺り一帯に響き合わっていた。青鷺が一羽、どこからともなく飛んできて、岩場にとまる。工事を行っている対岸に目を向けしばらく静止したのち、また、どこかへと飛び去っていく。僕は岩場にしゃがみ込みながら、青鷺の姿を目で追う。遡上している魚が、近くの水面でポチャリと跳ねた。

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