高照寺の倒杉

「倒杉(さかさすぎ)」を見に、珠洲市まで片道2時間弱のドライブ。若狭の八百比丘尼が能登行脚の際、高照寺境内でお昼を食べ、杉の箸を地面に逆さに刺したことでこの杉が生まれたとかなんとか。木肌は見る角度によってその表情を大きく変え、大地を撫でるように伸びたその枝は、まるで己が木であることを忘れた巨人のようである。倒杉の根元に立って真っ直ぐに見上げていると、こちらに覆い被さってきそうな勢いがあった。たくさん写真を撮ったが、その一枚にだってこの倒杉の迫力を写し取れたものは無かった。やはり巨木は自身がその場に赴き、その目でしっかりと見て捉えるしかないのだと改めて悟った。

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