starguitar

麒麟グリーンラベル片手に照り焼きチキンのピザを食べる、旅慣れた女性。途中停車した駅のホームの売店で、2本目のお酒を買って戻り、早速2杯目を美味しそうに飲んでいる。
ペットボトルを逆さにしてボトルホルダーに挿す、厚底靴を履いたパンクガール。3列シートの窓際に陣取り、悠々自適にスマホのアプリで暇をつぶしていたが、途中の駅で乗車した、体格の大きい外国人旅行者2名が横に座ったことで、すっかり気が滅入ってしまったようだ。今はスマホを閉じ、静かに目を瞑っている。
東京の観光ガイドを開きながら旅のプランを練る親子。時折、子供が観光名所の名を声に出して読み上げている。そのことが、今自分は東京に向かっているのだということを強く意識させる。

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いま、僕は東京行きの新幹線の中で、この文章を書いている。
東京で行われるカンファレンスに参加するための、1泊2日のささやかな東京出張だ。

車窓を流れる景色を眺めていると、Chemical Brothersの2002年に発売されたアルバム「Come With Us」の4曲目に収録されている「Star Guitar」のpvを思い出す。
車窓越しに流れる景色を延々と映した作品なのだが、流れる景色と曲のビート・メロディが完璧にシンクロしており、観ているだけで自然と体が動いてしまう。
SONYのWALKMAN登場以降、音楽を自由に外に持ち歩けるようになり、映画さながら自分の日常を彩るBGMを誰でも流すことができるようになった。ときおり、それはドライブ中カーオディオから流れる曲が、あるいは通勤中イヤホンから流れる曲が、目に映る景色にピッタリとシンクロする体験が誰にでも一度くらいはあるはずだ。「Star Guitar」のPVはその奇跡の瞬間を、見事映像作品に仕立てている。本PVは、2019年になった今でも、僕のPVオールタイムベスト10に入る傑作だ。