ロブスターとアイスクリン

ロブスターとアイスクリン。ロブスターは理論上寿命が無いし、アイスクリンも理論上消費期限が無い。けれど、ロブスターはいずれ捕食されるか不慮の事故で死を迎えるし、アイスクリンも誰かに食べられるか保冷できなければ、かつてアイスクリンだった液体へと姿を変える。想像力を働かせる。地図にものっていない無人島に、一匹のロブスターが生態系の頂点に君臨する小さな池がある。そこにはロブスターがロブスターになったその日から今日に至るまで、死ぬことなく生き続けるロブスターがいる。想像力を働かせる。地図にものっていない氷でできた無人島に、小さな木箱に入ったアイスクリンが今も転がっている。かつて探検家が冒険途中に置き忘れた、とっておきの午後のデザートだ。ロブスターとアイスクリン。それら2つが巡り合うことは決してない。それは隔絶された永遠だ。唯一僕だけが、想像の中でロブスターとアイスクリンを巡り合わせることができる。定命の僕だけが、想像の中で永遠を理解する。

Index
Prev
Next