ADV 2500 / DOOR 3500 + DRINK 500

金劇近くの飲み屋で胃と脳にアルコールを入れて気分が良くしてから、大体22時頃にはMANIERへと向かう。キャッシャーをしている知人に挨拶をし、お金を払って中に入る。きまってワンドリンクは手っ取り早く酔えるウイスキーだった。フロアに入ると当たり前のようにすぐにタバコに火をつけたし、皆、タバコとドリンクの入ったカップをそれぞれの手に持ったままフロアで踊るのが常だった。ゲストまでまだ時間のあるこの時間帯は人の入りもまばらで、イベントでよく見かける顔しかいなかったし、特にフロアをわかせる必要もないので、地元のDJが自分の好きな曲を好きなようにかける、とてもゆったりとした時間がフロアに流れていた。そしてそれが僕がクラブで一番好きな時間だった。「先週の○○のイベント、めっちゃ盛り上がってたよ」とか「○○の新譜やばいね」とか「最近フラレてさ〜」とか、本当に取り留めもない話を適当につまみ食いながら、でも耳は常に音楽のほうに向いていて、体はずっと静かに揺れており、好きな曲がかかればすぐさま踊りだすような、今思い返すと本当にエモい時間の連なりだったように思う。一緒に通っていた友人がDJをはじめたり、VJをはじめたり、フライヤー作ったり、イベントを主催したり、そうやって繋がった人たちが、また新たな繋がりを生み、徐々に輪が広がっていったし、自分がその輪の一端を担っているという連帯感がなにより心地よかった。

今日、仕事の移動中に当時遊び歩いた街を通ったとき、頭をよぎった大切な思い出たち。その後を知っている人は少ないし、中には亡くなってしまった人もいる。当時通っていたクラブはその全てが潰れてしまった。時代は変わったのだろう。流行も変わったのだろう。人も街も随分と変わった。早朝、酔いも醒めぬまま家に帰り、体に染み付いたタバコの匂いにウンザリしながらシャワーを浴びる僕はもういない。0時には抗えない眠気に打ちのめされ、ベッドの上で大人しく横になる日々。今の自分の生活はとても気に入っているが、不意にあの頃の自分が懐かしく、ちょっぴり恋しくなったりする。

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