石の寿命

不意に「石の寿命ってどれくらいだろう?」という疑問が頭に浮かぶ。石に寿命なんて変な話だ。石は無機物で鉱物だから、そもそも命を持たない。ゆえに寿命などあるはずもないが、それでもなお食い下がり、石の寿命ってどれくらいだろう?と考える。人は死ねば朽ちて消えるが、太古に居た生き物たちの一部は石に姿を変え、今現在においてもその姿形を留めている。石は不思議だ。川辺に転がっている丸くてすべすべした石はどこからやってきたんだろう。昔住んでいた町の隣町にはさんかく公園と呼ばれる場所があり。そこにはコンクリートで出来たさんかくの登り台があり、登り台の周囲の砂場にはさんかくの形をした石が転がっていた。さんかく石は、時折落ちている綺麗な色をしたBB弾と同じくらいの価値があり、放課後、自転車でさんかく公園へと出かけては、さんかく石を拾ってポケットにしまい、家へと持ち帰っていた。あのころ拾ったさんかく石は、どこにいったのだろうか。石に寿命はない。死ぬことはない。じゃあ、いったいどこに。石は不思議だ。

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