雪折 霜枯 枯れ茨

空っぽの自分と対峙するとき。コーヒーメーカーに置き忘れていた、煮詰まったコーヒーがなみなみと入ったガラスサーバー。春空の下、ちらつく雪。砕氷船が張り詰めた氷を砕きながらゆっくりと進んでいく。2匹の鹿が、寒林の霜立つ倒木の上に立ち、こちらをじっと見つめている。すれ違ってきた人たちの中に自分との共通点を探ってみるが、寝不足の脳みそはうまく働いてはくれない。自分が大事に集めてきたものが価値を失う瞬間。自分が不意に手放してきたものが価値を持つ瞬間。空を薄く覆う雲を透かし射す陽の光が視界の隅から目に飛び込む。目を瞑る。そこは真っ暗だけれど、光のかたちがはっきりと分かる。

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