拝啓、ご機嫌いかがですか

最近こんな記事を見かけた。

あなたが機嫌がいいと、世界は機嫌がいい 【寄稿】田中泰延

全文を読んで「ああ、そうだよな。」と強く思った。
僕が前職を辞めたのも、似たような理由だった。

お客様・ユーザーにとって良いもの、面白いものが何なのかを考える時間よりも、
役員・上長の機嫌を損ねないようにするにはどうしたらいいかということばかりを考え、
ご機嫌を伺うようなことに多くの時間を割くようになっていった。

終わりのない椅子取りゲームをしているような気分で日々を過ごし、
いつのまにか、あんなにもあった熱量が綺麗さっぱりと失われていた。

唯一残ったのは“次は我が身”という強迫観念と、
誰も信じることができないという疑心暗鬼な心。

ちょうど二人目の子供がもうすぐ生まれるかもしれないという時期だった。

石川の2月は晴れ間が少なく、灰色の重い雲が空を覆い、
雨と雪とが、毎日空と地面の隙間を埋めるかのように降り続いていた。

◇◇◇

二人目の子供が生まれて、もう2年と3ヶ月になる。

この歳月はちょうど前の会社を辞めた頃と重なる。

住む場所、人間関係、多くのことがあの頃とは随分と変わってしまったが、
変わらないものが一つだけある。

それは、やっぱり家族だ。

日が暮れて、家族と食卓を囲む。
僕が座る椅子はいつも決まって定位置には無い。
子どもたちが遊びに使っているからだ。

倒れた椅子を元の場所に戻して座る。

盛大に落書きされ、座面も少しヘタり、
ガタはきているが決して無くなることのない僕の椅子だ。

あの時の判断や決断が正しかったのかどうかは、
正直なところ分からない。

ただ、今の僕はとてもご機嫌だ。